チェロ初心者が陥る「倒錯」3つの典型的な間違いとは?

大人になってからチェロ を学ぶ時に必ずぶつかる「思い込み」の壁。

それを理論的な説明で、技術的問題としてスパッと解決してくださるのが村上先生の真骨頂!

そんな村上先生の、グサッと来る一言。

でも、その技術が頭の中で音楽(どのような音がでるか)と繋がっていないなら、技術的な問題が解決したとしても、一向に上手くなりませんよ。

音楽を学ぶ者の姿勢を厳しく問う村上先生・・・櫻田、そこまで考えたことないんですが・・・←だから上手くならないんじゃないのっ!

「技術が頭の中で音楽と繋がっていない」

それってどういうことだろう。

チェロ初心者が陥る「倒錯」

ほとんどの初心者の方々は、

  1. 音の出し方やポジション移動といった技術を教わる。
  2. 間違えないで楽譜を弾く。
  3. 音楽になる(はず。まだその境地に至ったことがない。)

という順番で進むと考えているわけですが、真実は、

  1. 頭の中に音楽をもつ。
  2. そのために運弓、運指などを決め、必要とする技術も決まる。
  3. 楽器を弾いて音にする。

という全く真逆の順序で音楽は生まれます。

この倒錯に気が付かないと、永遠に、初心者を脱することはありません。

#再掲:村上先生のチェロレッスンご案内

村上先生の手厳しい解説をどうぞ!めちゃめちゃ長く、そして深いです。

「間違った習い方」の人たちの「間違いの典型」

① 技術を習う
② 楽譜を正確に弾く
③ いずれ音楽になるはず

と思っている、「間違った習い方」の人たちは、だいたい何でも技術のせいにする傾向があります。

自分の弾いた曲に対する反省は、この順序を逆に辿って、

下手だ
→間違えたからだ
→技術が足りないからだ

という方向に思考が進むからです。

櫻田注:先生は「練習時間・弾いた回数が足りないからだ」という発想も否定されます。「繰り返し練習は少なければ少ないほどよい」がモットーで、闇雲に1,000回弾いても・・・はい、間違えた弾き方が定着するだけ!

言うまでもなく、なにかの技術を完璧に仕上げるということは不可能です。

このタイプの人の言う間違いの典型を以下に書きます。

錯誤1 「始めたのが遅すぎた。子供の頃からやっている人にはかなわない」

比較の対象としている「子供の頃からやっている人」とは、子供の頃に始め、途中でやめず、大人になるまで続けた人であって、適性があった人たちだけが生き残っているのです。

実際は、これ以外に、子供の頃に始めたけど続かなかった人の膨大な屍が横たわっています(生存バイアス)。

櫻田注ーMBA経営辞書:生存バイアス

何歳から始めても、うまくなる人はなるし、ならない人はならない、というのが真実です。

大人には大人に向いた練習法があります。

絶対にやる気があれば始めるのに遅いことはありません。

錯誤2「技術的なことを教えてほしい」

このタイプの人たちは、なんでも技術不足のせいにする傾向があります。

技術を習うのは、まったく悪いことではないのですが、前述の①②③の思考回路に沿って、自分で勝手に「問題は技術が足りないことだ」と思いこみ、先生に技術を習いに行くというのは、まったく上達しない道です。

櫻田:それは櫻田です・・・

せっかく良いことを習っても、①②③の思考回路により、それが生かされない知識になってしまうからです。

なぜ生かされない知識になるかといえば、技術が頭の中で音楽(どのような音がでるか)と繋がっていないからで、そのような人が、フォームや音程を練習しても本当のことを言えば、決して音楽にはならないのです。

櫻田:ここ痛かったです・・・図星です。これだけでも何か自分の中で変わりました。

これは語学の習得を例に考えれば明白です。

英語でトイレの場所を聞くには何といえばよいのか、というような具体的なフレーズの利用状況を想定している人は、習ったことを覚えて使えばいいだけです。必要性が喫緊であればあるほど、習得も早いでしょう。


逆に、どういった状況で自分が英語を喋りたいのか自分でもよくわかってない人が、闇雲に文法事項や単語帳を勉強しても、実際のある特定の状況に置かれたとき、適切なフレーズを言うことは難しいのです。

錯誤3「楽譜を正確に弾く」

前述のプロセス②で「正確に弾く」と書きましたが、この手の人たちのいう正確とは、

(1)音程
(2)リズム
(3)楽譜の指示記号など
(4)その他先生に言われたこと

を間違えずに弾いたというレベルである場合が多いのです。

これでは、まったく楽譜が読めているとは言えません。

楽譜を読むというのは、そんなに甘いものではないのです。

一例を挙げれば、楽譜からは、

(1) テンポ
(2) 拍節感 を読み取って決め、
(3) リズム要素、
(4) 旋律要素をグルーピングし、
(5) 和声分析をし、
(6) リズム・旋律・和声の力動性をよく考えたうえで最終的なグルーピングを決め、
(7) 曲全体の構成を決め、
(8) ようやく運指やボーイングを決める、

という順序になります。

「印刷どおりに弾いてみました」では話にならないのです。

楽譜の読み方という話は、実は、「楽器を持たずにいく音楽のレッスン」を何度も受けないとわからない話です。

しかし、楽器のレッスンに熱心に通う人でも、楽譜の読み方などを
習う人は少ないです。

錯誤です。

櫻田:先生きっぱり言い過ぎ・・・大人チェロ 学習者の9割以上に喧嘩売ってます。

楽器は、あくまで音楽を実現するための道具に過ぎません。

中身がないのに道具の使い方だけ習っても仕方がないことです。

櫻田:orz………….

チェロ(楽器)の正しい習い方

❶ 頭の中に音楽をイメージする
❷ そのためにどう弾くかを決める、必要な技術もここで決まる
❸ 足りない技術はそこだけ練習する

という順序で進みます。また、実際に音を出してみることで、❶,❷のプロセスにはフィードバックの修正がかかります。

このようにして、段々と、自分の楽器での話法(メディウム思考)が出来上がってきます。

楽器は音楽を実現する道具に過ぎませんが、逆に、個々の道具には最適な音楽の在り方があり、これは、上記のプロセスをいつもフィードバックで何周もしている人が会得してくる感覚です。

これによって、最初のイメージは、より解像度が高いものとなりますし、どう弾くかを決めるステップでも、無理のない奏法を選択することになります。

頭の中の音楽をイメージするには、CDを聴くといった受け身な方法ではダメで、自分で、楽譜と睨めっこし、解釈を深めるという作業を繰り返さなければなりません。

これはとても時間も労力も頭脳も使う作業なのですが、ここのところが、実際は、楽器を弾く練習よりも大切で、肝心なところなのです。

再び英会話に喩えれば、会話の状況設定が綿密に微細にシミュレーションできていれば、自分が言うべきメッセージの内容も明確になり、あとは言えない表現を調べたり習ったりするだけで準備ができます。

しかし、「先生みたいにペラペラになりたい」というような漠然とした動機で習っているだけの人は、結局、いつになっても上達しないのです。

櫻田:ここ一番痛かったです・・・それ櫻田だ・・・。

非常に長くなりましたが、倒錯の話の要点は、こういうことです。

以上が村上先生からのお話しでした。

重い、先生、重いです。

楽譜の読み方のレッスン?

最初からそんな大上段に構えたら、何もスタートできなくなっちゃうとも思いますし、ある程度一通り学んでこそ見えてくるものもあるだろうし・・・まずは基礎を習ってからと「音楽」を問わない先生もいらっしゃると思います。

でも、こういう考えをお持ちなのは、村上先生だけではないように思います。

櫻田が通常習っているイケメン先生にも、新しい曲に入ると「どういうふうに弾きたいのか、イメージを教えて下さい。」と聞かれるし(これがすごく苦手・・・)それがとても重要だとおっしゃいます。

この曲は、イメージについてかなり聞かれましたが、
メヌエット第3番美しく澄んだ音★大人のチェロレッスン多分67回目

「後半はね、氷の世界。氷屋さんの透明な透き通った氷ね。櫻田さんの演奏だと、家庭用冷凍庫の氷。」と言われたり(笑)、

大人チェロ会のアンサンブル会でかえるの歌を弾くことになって、とりあえず弾いてみれば、
かえるのうたにケチを付けられるの巻

「かえるらしく弾いて下さい」とバッサリ・・・(笑)

本当はそういった「どんな音楽を奏でたいのか、どういう音を出したいのか。」という奏者のイメージが先行して存在し、そこからやっと「それをどうやってチェロで表現しましょうか。」「それには何が必要でしょうか。」となる・・・という順序を理想に考える先生は、本当は多くいらっしゃるんじゃないかと勝手に思っています。

でも、そんな順番でやっているとレッスンは進まないし、その重要性をまず理解してもらうのにも時間がかかるし、ひとまずはチェロを弾けるようにならないと生徒の満足度も上がらない・・・・ということもあるのかな、と勝手ながら思いました。

でもなんだか、ワクワクしません?

大人になってからチェロを始めたからこそ、子供から習うのとは全く違う(どちらがいいとかじゃなくて)、豊かな音楽の世界が広がってるのかも?って、村上先生とお話ししながら感じるようになりました。

どうせイバラの道ならば(笑)、イバラの生態に詳しくなるくらいの勢いで行った方が、道中楽しそうじゃないですか。

本来、音楽は文化であり、文化には歴史や哲学や宗教や生活様式や、その他、様々な価値観が積み重なっています。

我々が主に弾いているクラシック音楽は、西洋文化のひとつです。

そういう外国の文化に対して、指を早く動かす訓練だけして曲が弾けるとか弾けないとかいうのは、そもそも非常に
失礼な話であると思っています。

私が目指しているのは、深く音楽美学に根差した音楽の在り方を追求する人を育てるような音楽教育です。

いやぁ、村上先生のレッスン受けるのに、そんな覚悟ないわ・・・って思いますけど、実際はですね

村上先生:私は理論的な説明で、技術的問題を解決するのが得意であり、また、みなさんもボーイング、姿勢、左手など、技術的問題の相談をして頂いている、

状態で、技術と音楽は繋がらないままだけれど、櫻田は先生のその理論的な説明を受けて、ボーイングの悩みが消え、音が良くなったたりしている、と。

右手が震え、弓が震え、音が震える悩みが解決した!★上腕三頭筋とおばけの手とチェロ

単発のレッスンなどでは、そういったニーズにもしっかり応えて下さると思います。

でも、そういった理想をお持ちだというお話しをして頂いて嬉しかったし、先生とお話しするうちに、技術的問題のアドバイスを頂くだけなんてもったい!って思えて来ました。

#最初は、難しいことばっかり言う先生だなぁ・・・と思っていたのも事実ですがっ(笑)

村上先生:楽譜の読み方のレッスンという希望があれば、これは私も喜んでやるところです。

今度、大人チェロ会で「村上先生の楽譜の読み方レッスン」でも、シリーズでして頂きたいと思ってます!

【村上先生のボーイングレッスンレポ】

1〜序章:出会いからレッスン&スゴ過ぎるご経歴
2:ハートに向かって弾く/人差し指の肉のところ
3:指の役割(親指・小指・他) 
4:正しい姿勢はへそに聞け/作用・反作用の法則
5:伸筋奏法・弦と弓の角度・移弦の角度

村上先生のチェロレッスンご案内