来日直前のマレックさんにインタビューさせて頂く機会を頂いて、緊張と興奮と緊張で一週間くらい使い物にならなかった櫻田こずえです、皆さまごきげんよう!
2018年10月25日(木)銀座ヤマハホールでのコンサートに先駆けまして、マレックさん在住のLAと東京をスカイプで繋いで、大人チェロ会メンバーからの質問に答えて頂きました♪
・マレック・シュパキエヴィッチ★チェロリサイタル2018/10/25@銀座ヤマハホール(櫻田記事)
・チケットぴあ
ポーランド生まれロサンゼルス在住のチェロ奏者マレック・シュパキエヴィッチ(Marek Szpakiewicz)は、ヨーヨー・マから「エネルギー、モチベーション、真摯さ、そして寛容な心を持っていることが自明なアーティスト」と評され、ピューリッツァー賞を受賞した作曲家ジョン・コリリアーノから「シュパキエヴィッチ氏が演奏した私の作品『バッハのアリアによるファンシー(Fancy on a Bach Air)』は、素晴らしく華麗である」と、高い評価を得ている。
・Wikipedia マレック・シュパキエヴィッチ
・オフィシャルサイトMarek Szpakiewicz(英語)
と言うことで、インタビュースタート!
まずはちょっぴり大人チェロ会紹介
Dobry wieczór! (ドブリィ・ヴィエチュル)
#マレックさん出身のポーランド語で「こんばんは」
大好きなチェリストとこうしてお話できるなんて、大興奮すると同時にとても緊張しています・・このような素晴らしい機会を下さってありがとうございます!
私は去年「大人になってからチェロを始めた人の会」というネット上のコミュニティ(2018年10月 会員90名位)を作り、日々交流を楽しんでいます。
そこで、やっぱり大人から弦楽器を始めるのは難しい・・・という話をすることがありますし、自分自身、40歳でチェロを始めるなんて遅すぎるかなと躊躇しました。
そこで最初の質問と言うか、リクエストです!
1.大人になってからチェロを始めた人、始めようとする人へのメッセージをお願いします
人生を楽しむことに遅過ぎるなんてないように、チェロを始めることにも、遅過ぎることなんてことは絶対にないよ。
大人はそれまでの経験や豊かな感情、音楽への理解や愛をチェロの音色に乗せて、周囲の人にシェアすることができるよね。
大人だからこそ、新しい楽器を弾くということが、新しい言語、新しいコミュニケーションツールを習得することになるんだ。
また、子供は当たり前のように上手になって行くけれど、大人は小さな進歩にも一つ一つ感動することができるでしょ。
いつ始めても、その年齢に見合ったメリットがあるから、遅過ぎるなんてことはないんだよ。
マレックさんのあたたかい言葉、包み込むような優しさに、早速涙が出そうになりました・・・演奏にもこの優しさがにじみ出てるんですよ・・・うるうる。
2. なぜ他の楽器ではなくチェロを選んだのですか?
僕が小さい頃、ポーランドは共産主義国で、誰も国外に出ることができなかったんだ。でも、運動選手と音楽家の、一部の優秀な人達だけは、国外に行くことができた。
当時未来に希望なんて持てなかったけれど、もし音楽で才能を発揮できれば、未来に希望を持てる。そこで両親は僕に音楽学校を受験させたんだ。
ピアノのコースに行くには、家にピアノがなければいけなかったが、家は貧しくピアノが買えなかった。
育った街はヴァイオリニスト・作曲家のWieniawski(ヴィエニャフスキ)の生地で、彼の名を冠した音楽学校や国際コンテストもあり、ヴァイオリンはポテンシャルが高かった。
しかし、父が僕にはチェロがいいと考え、6歳の時にチェロを弾き始め、僕自身も次第にチェロに強い情熱を持つようになったんだ。
自分にとって当たり前のこと、当たり前の自由も、世界のどこかでは全く当たり前じゃないことを、改めて考えさせられ、そして、胸がギュッとしました・・・。
一方、ピアノも10歳で始め、10年ほどレッスンを受けたし、ヴァイオリンのレパートリーにもずっと興味を持ってきたから、チェロだけではなく、ピアノとヴァイオリンについても深く理解しているんだ。
他の楽器にもいつも興味を持ち続けていることは、僕のユニークなところで、それがチェロの可能性を広げるのに役立っているし、映画音楽の編曲などもとても楽しんでいるんだ。
今回のコンサートのような、原曲はチェロの曲ではないプログラムは、マレックさんの本領発揮!なんですね♪
チェロを弾く人にとって、ヴァイオリンと比べてレパートリーが少ないというのは共通した悩みですが・・・マレックさんは正に救世主!
【参考】オーケストラ編曲の分野でも活躍し、映画音楽作曲家ヤン・A・P カチュマレクの作品に携わる。共同で手掛けた映画音楽『ネバーランド』は2005年第77回アカデミー作曲賞を受賞。彼の映画音楽では、リチャード・ギア主演『HACHI-約束の犬』(2009年夏公開)や松井久子監督の『レオニー』(2010年秋公開)などで、印象的なソロを聴かせた。<パンフレット(裏)PDFファイルより>
3.今回のコンサートは、原曲はチェロの曲ではないプログラムですね。その中でも、チェロへの編曲、そして演奏が難しかった曲はどれですか?
【2018年10月25日(木)ヤマハホール:曲目】 ・バッハ(シロティ/カザルス編)トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564よりアダージョ ・シューベルト アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D8216 ・バースタイン(シュパキエヴィッチ編)クラリネット・ソナタ ・フランク チェロ・ソナタ イ長調(原曲:ヴァイオリン・ソナタ) ・ショパン(イザイ/シュパキエヴィッチ編)バラード 第1番 ト短調 Op.23 |
難しい質問だね・・・どの曲もそれぞれ、バロックやロマン派だったり、様々なスタイルの異なる理解が必要で、さらに異なる楽器で演奏されるものだから、それぞれに難しいんだよ・・。
でも、特に演奏という点で難しいのは、シューベルトのアルペジオーネだね。
6弦のアルペジオーネのために書かれたものを、4弦のチェロで弾くのは本当に大変で、チェロの上で、大変な運動を強いられるんだ(笑) 弦の上で踊り続けたり、指板の上でトリプルアクセルを決めたり、それは大変なんだよ(笑)
また、編曲としてはショパンのバラードもある意味とても難しい。
ショパンにはたくさんのファンがいるでしょ。
彼らが思う”ショパン”でないと「これは違う!ショパンじゃない!」とがっかりさせてしまうから、とても上手に演奏しないといけないよね。
僕は一年ほどかけて楽譜を研究し、曲の背景のみならず、この曲について皆がどんなイメージを持っているのかを調べたんだ。
物語に例えると短編とも言えるエチュードやノクターンより、バラードは小説であり「リアルなストーリー」だから、ショパンの内面がより色濃く反映されていると思うんだ。
それを原曲ではピアノで表現されているけど、チェロでどう弾けばその内面のストーリーが表現ができるのか・・・それはとても大変だけれど、楽しみな作業でもあったよ。
そうそう、僕はショパンと同じ日に生まれたんだよ。
すごい!マレックさんは音楽家になるために生まれて来たんですね!
これがどういう意味を持つかわからないけれど、僕は誇りに思っているよ。
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後半は、曲を弾くためにどのようなプロセスをたどるのか、そして、福島の子供達への支援の理由を伺いました。
【後半】マレック・シュパキエヴィッチさんインタビュー後半★チェロはコミュニケーション/音楽の持つ力
<マレックさんwith大人チェロ交流会>
1.食事会の後にTSUNAMI CELLO登場!
2.レッスン編★音楽はコミュニケーションだ!
3.レッスン編★大人になって始めたからこそ!
4.2日間で感じたこと&その後の飲み会♪